写真事業と写真セラピー(写真療法)について
写真には人を癒したり元気にする、人間的成長や生きる力を育むセラピーとしての効用があります。また写真は敷居の低い創造的な活動、自己表現やコミュニケーションの道具です。小さなこどもからお年寄りまで、重い病気や障害を持った人たちでも気軽に楽しむことが出来ます。
日本においては早くも1970年代の半ば、専門学術誌に写真療法の効果についての発表があり、その後も何度か研究成果が公刊されています。海外では1980年代後半、イギリスの女流写真家である故ジョー・スペンス氏が乳がんを患い、自分の写真を撮影することによって自分自身を見つめ、現実を受け入れてゆくプロセスを通して死の恐怖から解放された、という事で知られるようになりました。
その後、日本では2000年代に入ってから複数の個人、団体がおもに自己啓発、コミュニケーションとしてのフォトセラピー活動を実践し始めると、脳科学によって写真を楽しむことが直接的に心や体に良い影響を与えることも報告されてくるなど、少しずつセラピーとしての写真の力が知られてくるようになりました。
クローバーリーフは一般の人たちから子供や高齢者まで、また、創造的活動が制限されやすい重い病気や障害、心的問題を抱える人たちにこそ、写真の楽しさ、セラピーとしての写真の魅力を体験してもらいたいと考えます。 カメラのファインダーを通
して被写体と対峙し、自由に自己表現し、癒され、元気になる、また、新たなる気付きや自己発見をする。そのような体験が出来る機会を提供しています。
酒井貴子(さかいよしこ)プロフィール:
本名:酒井美子 NPO法人クローバーリーフ理事、日本写真療法家協会代表、写真家、写真療法家。自身が写真で癒され元気になった経験をもとに、写真を撮ること、撮られること、撮った写真を見たり加工したりして楽しむことが人の「生きる力」を育む効果があることを実感。外資系銀行人事部長などを歴任後、2004年、セラピーとしての写真活動を実践するためNPO法人クローバーリーフを立ち上げ、医療、福祉、教育現場にセラピーとしての写真活動を導入。スクラップブッキングというクラフト手法により、自分が撮影した、もしくは自分が写っている写真を使って思い出アルバムを作り、心の世界を表現しながら自信や意欲、創造性を育む「写真セラピー(セラピーとしてのスクラップブッキング)」を写真療法の一手法として独自に開発。その後、心理学、カウンセリング、芸術療法などの考え方をもとに写真療法の確立と普及を目的とする日本写真療法家協会を2007年に設立。活動先は、こども病院院内学級、緩和ケア病棟、フリースクール、養護学校、高齢者施設や知的障害者施設など、医療、福祉、教育現場の多岐にわたる。活動は2007年第17回日本ホビー大賞「文部科学大臣賞」、第1回キッズデザイン賞リサーチ部門を受賞。 日本カウンセリング学会。